日本酒は、まず酒づくりに適した米と水が必要です。いまでは、酒造米として特別に生産しているが、それもながい酒づくりの歴史が生んだひとつの成果である。
厳選した原料を精米すること が最初の工程である。いわゆる白米の表面をさらに削って水晶のようにみがいた米にする。
日本酒は空気が澄み、細菌類の少ない冬場の作業。水晶のようにみがかれた米、特に吟醸酒造りは洗米から細心の注意がはらわれる。水の温度、水分のみくみ具合も大切な作業の一つである。
洗った米は倉に運ばれ水切りされる。蒸された米は麹室(こうじむろ)に送られる。
麹室に送られてきた蒸し米に、麹菌がまんべんなくまかれ、麹菌の繁植を見ながら炭酸ガスの排除と酸素の供給のため、中仕事、仕舞仕事と手入が行われ48時間で麹が出来上る。
こうしてつくられた麹と酒母(大量の酵母)と蒸し米に水を混ぜ手でかきまぜる。氷点下の作業はつらい作業の一つである。これを“手酛(てもと)まわり”と言う。常に温度に気をつけ、ある時は布を、又温湯を入れた暖気だるを使用 したり注意をし、約2週間で“酛(もと)”が出来上る。
仕込みは普通三段仕込みと言われているが、我が社では独自の開発による二段仕込みを用いている。初添から留添と、徹底的に醗酵させ、熟成させると、やがてもろみが出来上る。
二十数日間、タンクの中で醗酵をつづけ、出来上ったもろみをさかふね酒槽に入れ、しぼる。自然しぼりは高級酒の一つの条件である。
やがて、香り高い原酒が誕生する。仕込タンク一つ一つをきき酒をするのも蔵元の大切な仕事の一つである。
原酒は熱湯の中通りタンクに送られる。これを火入れと言う。火入れはタンクの温度を60度迄上げ醗酵を停止させ、一夏をすごす。そのタンクの中でまろやか味と香りをもつすっきりした女性的な淡麗型の酒として完成される。
完成された酒は、近代的な設備を誇るビン詰の工程へと入る。一本一本ていねいにチェックされ、ラベルがはられ、清酒一人娘が誕生します。
一人娘は日本一の辛口の酒として、軟水仕込みの反骨の酒として250年にわたり、常に風調に左右されることなく造り続けられてきました。
日本酒は保存が大切で直接日に当ることなく、常に冷い場所に保存することにより、決してワインにくらべおとるものではない。
一人娘は、さわりのない「真水の如き酒」を目標に今日も努力を続けているのです。